本論は中級レベル以上の日本人CSL(Chinese as a Second Language)学習者が、中 国語の接続語句をどのように使用しているのかの研究である。「HSK動態作文語料庫」 (HSK作文コーパス・北京語言大学)から試験一回分の、日本人受験者全員の作文の文 章を取り出し、因果、転折、仮設、条件、並列、累加、選択などの相関関係を表す接 続詞の使用状況をデータ化し、詳しく分析した。中国語の基礎的な接続詞はおよそ習 得しているが、接続詞の使用が種類によって不均衡である。一番よく使っているのは 転折を表す「可是/但是」であり、仮設と因果類の「如果...的話」と「因為」、「所 以」は次である。一方条件類接続詞は殆ど使えず、日本人学習者にとって難点である ことが分かった。また中国語母語者の接続詞使用データと比べ、日本人CSL学習者が中 級レベル以上でも接続詞の書面文体と口頭文体の使い分けができず、文章が明らかに 口頭文体の傾向であることも指摘した。
「大のサッカーファンであるあなたは、仲間と一緒に、”FIFA World Cup 2018 Russia”の決勝戦を観戦するためにモスクワを訪れることにしました。短い滞在期間ですが、せっかくなので食事はすべてロシア料理にすると決めました。ロシア料理のルールにのっとり、メニューを見ながら食べたい料理を店員さんに注文します。」
東京都出身。上智大学外国語学部英語学科卒業。浦和市立高校教諭を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)修士課程、博士課程修了、Ph.D.(応用言語学)。大東文化大学外国語学部英語学科助教授、コーネル大学現代語学科助教授、同アジア研究学科准教授(tenured)、 ピッツバーグ大学言語学科教授などを経て、現在ケースウエスタンリザーブ大学現代語・文学科教授(Eirik Borve Professor of Modern Languages)。 国立国語研究所客員教授、上智大学国際言語情報研究所客員研究員。専攻は、応用言語学、言語習得論。著書に、『外国語学習に成功する人、しない人』(岩波科学ライブラリー、2004)、『外国語学習の科学』(岩波新書、2008)、『しゃべる英文法(コスモピア、 2009)』『英語はもっと科学的に学習しよう』(中経出版、2013)『ことばの力学』(岩波新書、2013)などがある。