中国語教育学会2018年度第2回研究会
中国語教育・学習に関するワークショップ
レアリアのツボ、レアリアのチカラ
~レアリアで学ぶ、教える中国語のために~第5弾
中国語を学ぶ時に何を使って学びますか?学ぶためのツールとして、今回私たちはレアリアを使っての中国語学習・中国語教育を提案します。
レアリアをのぞくと、語彙・語構造レベルから、フレーズ、文レベル、そして、中国語圏の小さな文化まで、中国・中国語を知るヒントが多く隠れています。
これまでの5年間は、中国語教育におけるレアリアの価値、授業への援用について各地で発表し、その成果物として、研究報告書を作成しました。今回は、さらにレアリアを掘り下げていき、また、新たな形の模擬授業を実践します。
※本研究は日本学術振興会科学研究費基盤研究(C)「中国語教育におけるレアリア活用方法の構築」(課題番号16K02848)の助成を受けています。
日時 | 2018年10月27日(土)13:00~ |
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場所 | 愛知大学名古屋校舎(ささしま)L705教室 (講義棟7階、※大学の事情により教室の変更の可能性があります。) |
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タイムテーブル
13:00~13:25 | 会の主旨説明「レアリアの中の書面語表現とその特徴」 | 中西千香 (立命館大学) |
13:30~13:55 | 「レアリアの文法」 | 荒川清秀 (愛知大学) |
14:00~14:25 | 「中国語CMがカバーする文法項目とは」 | 干野真一 (新潟大学) |
14:30~14:55 | 「中国語翻訳版日本漫画に見る「よい翻訳」と「わるい翻訳」 ―過去の例と最近の傾向」 |
明木茂夫 (中京大学) |
15:15~16:00 | 模擬授業(2クラスに分かれます) | |
A:「料理のレシピを読んでみよう—レアリアでジグソー活動」 | 植村麻紀子 (神田外語大学) |
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B:「講読授業・学習の一例ーニュースでまなぶ硬い動詞そして補語」 | 塩山正純 (愛知大学) |
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16:15~16:45 | 授業についての説明&全体討論 | |
17:00 | 閉会予定 |
発表要旨
中西千香(立命館大学)
「レアリアの中の書面語表現とその特徴」
レアレアの特徴にしばしばあげられる、文字化される=書面語表現から逃れることができないことは、誰もが感じるところである。この書面語表現は、中国語教育ではなかなか取り扱われない。しかし、実際の中国語のあらゆる文字情報では、容赦なくでてくる。わからないままでは中国語圏での生活に支障がでる。ここでは、書面語表現について、品詞別に取り上げ、どのような表現があるか外観したい。
荒川清秀(愛知大学)
「レアリアの文法」
レアレアで文法が考えられるか。いわゆるシンタックスは無理でも、造語論、連語論はできる。ここではまず、「あいかぎ-配钥匙」「クリーニング-洗衣」のように、日本語が名詞表現をするところを中国語が動詞表現をする意味を考え、さらに、「違和感を感じる」式の表現“出租车候车处”(タクシー待合所)“火车票售票处”(列車のチケット売り場)の存在を検討し、禁止表現の日中での違いについても考えてみたい。
干野真一(新潟大学)
「中国語CMがカバーする文法項目とは」
中国語CMには多彩な文化知識や言語表現が含まれ、その内容には多くの発見がある。レアリアとして、CMならではの臨場感をともなった興味深い言い回しが含まれている点に利用価値があると考える。報告者が近年関心を寄せている、中国企業により作成されたCMを主な題材として取り上げ、初級と中上級で異なる活用法について文法項目ベースで検討する。併せて、これまで反響のあった中国語CM「素材選び」のポイントについても触れる。
明木茂夫(中京大学)
「中国語翻訳版日本漫画に見る「よい翻訳」と「わるい翻訳」―過去の例と最近の傾向」
中国語和訳・和文中国語訳の指導において、よい例を見るばかりではなく、「誤訳」を分析することも有効である。誤訳をあげつらうのではなく、その誤訳がいかなる原因で生じたのかを考えることで、翻訳というものの重要性や難しさを受講者に実感させることができるからである。ここでは特に1980年代の翻訳漫画の誤訳の例を題材に、ある誤訳がどのような経緯で発生したかを検証し、また近年の漫画翻訳の優れた例を、中国語版に加えて英語版も参照しつつ分析し、その傾向について考える。
模擬授業
植村麻紀子(神田外語大学)
A:「料理のレシピを読んでみよう—レアリアでジグソー活動」
レベル:初級から中級
中国語学習の動機やニーズ、目標は学習者によって異なりますが、「食」は多くの人の関心事であり、日常生活の一部でもあります。料理のレシピを教材に、食材や調理法の中国語を学ぶことで、中華料理の注文に役立つだけでなく、話し言葉中心の入門期に書き言葉を導入し、翻訳のテクニックを学ぶこともできます。この模擬授業では、協働学習の一手法であるジグソー・リーディングを体験して頂きながら、従来とは異なる学びのあり方も考えてみたいと思います。
塩山正純(愛知大学)
B:「講読授業・学習の一例ーニュースでまなぶ硬い動詞そして補語」
レベル:中級
初級テキストで学習する単語数は、少ないもので300、多いものでも500〜600で、限られた数の単語のやり繰りで必須の文法項目も学んでいます。ですから、ある程度の文法を身につけても、話題は自ずと日常生活の場面など、限られた範囲に留まることが多いのです。とくに動詞は、最も基本的な幾つかに集約されるのではないでしょうか。手持ちの単語が少ないと、話題もワンパターンになりがちです。ワンパターンから脱却するには、今まで接点のなかったニュースや話題に接触して世界を拡げ、単語の数を増やしていくことが必要です。一気にハードルが上がるようなミッションですが、ちょっとした工夫で、漢字の知識や初級の文法項目を総動員すれば、不可能なことではありません。今回の模擬授業では、動詞と補語に着目し、わたしが普段の授業で話している学習のヒントを一例としてお見せできればよいかな、と思います。