2022年度第1回研究会

1、開催日
  2022年8月27日(土)13:30〜17:00
・オンライン(zoom)で実施。8月25日または26日に申し込み者にZoomアドレスを送信予定です。
・参加費無料(こくちーずで事前申込)8月23日(火)22:59までに登録をお願いいたします。
  https://kokc.jp/e/e20c0e1d267dfd2abcb14f6b7157b042/

 

2、当日の流れ(発表30分+質疑応答10分=1人40分)
  13:30〜35 諸注意
  13:35〜14:15  発表者1(質疑応答含む)
  14:15〜14:20  休憩
  14:20〜15:00  発表者2(質疑応答含む)
  15:00〜15:10  休憩
  15:10〜16:30  HSKに関する勉強会
  16:30〜17:00  ブレイクアウトルームで懇親会

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発表者1
“X+前后”の認知的考察
―第二言語教育の視点より                                                                周 云(北九州市立大学・院)

                                    
中国語における不定量、即ち「定かでない量」についての言語表現形式は多く存在しており、周(2017)は不定量表現が表す量的特徴に基づき、七大不定量表現形式に分類している。“X+前后”という不定量表現構文は“中心不定量”の1つであり、Xを中心参照点としその前後への「分散量」を表す。表す不定量は時間的量であり、Xの時間的特徴により時間幅の“加和(プラス)”か時間点の“选择(選択)”の2つに分けられる。
では、“X+前后”に当てはまるXは時間軸における“前”と“后”の方向付けと同じく認知主体の視点に依らないという共通属性を有するかどうか、どんな時間的特徴を内含しているかを明らかにする。そのうえ、コーパス等の語用例を基にXの範疇及びプロトタイプを考察する。さらに,日本人の中国語学習者は日本語の「Y前後」(中国語のXと区別するため)という言語表現からの干渉や“X+左右”の過度な使用による誤用例を分析しその対応策を講じる。


発表者2
初修中国語の発音指導におけるブレンド型授業の実践報告
―2種類のブレンド型授業の比較を中心に―
許 挺傑(大分県立芸術文化短期大学)

筆者は2022年度前期に開講された初修中国語の授業の発音指導において、「対面授業」「復習用動画」「オンライン課題」の3者を相補的に連携させたブレンド型授業を実践した。本発表では、2021年度前期に行なった類似のブレンド型授業(「Zoomによる同時双方向型オンライン授業」「復習用動画」「オンライン課題」の3者からなるもの)との比較を通して、2022年度新たに実践したブレンド型授業の結果について報告する。結果、以下のことが明らかになった。
1)発音テストの成績について、t検定を行った結果、2022年度の平均点は2021年度の平均点より有意に高かった。
2)授業評価アンケート(「授業の内容」および「授業の方法」に関する設問を各5項目の計10項目、いずれも5段階評価)の各項目の評価得点について、t検定を行った結果、「授業の内容」5項目については、すべて有意差はなかったが、「授業の方法」の5項目のうち、「7.先生の声は明瞭で聞き取りやすかった」と「10.教材の提示方法は適切で分かりやすかった」の2項目において、2022年度の評価得点が有意に高かった。

勉強会・講演
HSK3.0改革について今分かること
太田匡亮(大阪大学・院)
(HSK日本実施委員会国内認定試験監督官、汉考国际B级认证监考官)

中国で開発され、1991年から日本でも実施されている中国語試験HSKが、2度目の転換点を迎えようとしている。1度目の転換点は旧HSKから新HSKへの移行であったが、今回は新HSKから「HSK3.0」への移行である。まず今年は①7-9級試験の新設、続いて数年内に②1級から6級試験の改良が予定されている。この「HSK3.0改革」の背景には言うまでもなく、2021年7月1日より実施に付された《国际中文教育中文水平等级标准》の影響がある。
しかしながら、HSK3.0に関する情報は様々な媒体ないしシンポジウムの場で断片的に提供されているのみで、「暫定情報でもよいからいち早くまとまった情報が欲しい」と考える中国語関係者にとって、満足のいく状況ではない。このことを踏まえ、日頃HSKに関わり、関連情報にも注目している立場として、以下数点について情報を取りまとめ紹介する。
① HSKの概要
② HSKに影響を与える《国际中文教育中文水平等级标准》の考え方
③ HSK3.0改革について現時点で明らかになっている情報

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